TOKI MESSE朱鷺メッセ:新潟コンベンションセンター
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施設のご案内

アート コンセプトはビギニング

 現代を代表する5人のアーティストが、それぞれの作品設置場所を念頭に、朱鷺メッセにふさわしい21世紀を迎えた始動の気配を感じ取られるような作品をつくりました。
●灯台
蔡國強(ツァイ・グオチャン/1957年、中国生まれ)
 蔡は上海の大学で美術を学んだ後、1986年に来日し、90年代半ばからはニューヨークを拠点に活動しているアーティストです。在日中に火薬や導火線を使ったイベントで注目されるようになり、とりわけ93年に行った「万里の長城を一万メートル延長する」と題された壮大な規模のプロジェクトは大きな話題を呼びました。また漢方薬や風水の思想など、中国の伝統文化を現代に結び付ける(それは東西の対話でもあります)ユニークな発想の作品でも知られています。国際展での活躍も多く、99年のベネチア・ビエンナーレでは金獅子賞を受賞。万代島の河岸近くの芝生に置かれた作品「灯台」は、巨大な自然石の内側を刳り抜いたもので、中国で制作されました。割れ目の内側からは霧が沸き出し、夜には幾条もの光の束が放たれます。港町新潟と海外との交流を象徴する、不思議な魅力をもったモニュメントとして市民や舟人の目を楽しませてくれるに違いありません。
●天秘
 信濃川のほとり、太陽は刻々と
 白い石に光と影を与え
 移ろう人の心を映す。
 その石はある瞬間
 朱鷺色に染まる。

安田侃(やすだ・かん/1945年、北海道生まれ)
 安田は東京芸術大学を卒業後イタリアに渡ってローマのアカデミア美術学校で学び、以降、トスカーナ地方の大理石の産地に定住して制作を続けてきました。イタリア各地や洞爺湖畔、美唄市などに数多くの作品を設置し、村野籐吾賞を受賞するなど、今日では野外彫刻の第一人者と見なされている存在です。大理石の美しい肌を生かした生命感のある柔らかな曲面と豊かな量塊性は、誰にも親しまれる優しさをたたえていますが、その表現は素材に知悉した彫刻家の確かな造形力に支えられているのです。万代島の芝生の斜面に配された作品「天秘」は、細長い円盤状の単純な形態をしています。それだけに緑の中に佇む白い姿は、私たちの想像力をさまざまに喚起し、また時には静かな瞑想へと誘ってくれるはずです。垂直に立った卵のようなバランス感覚もユニークな効果をもたらしています。牧歌的なおおらかさと洗練された現代性とを合わせ持った、彼ならではの世界といえるでしょう。
●「道に沿ってどこかに,幾つかの色」新潟県朱鷺メッセの為の作品

Daniel Buren(ダニエル・ビュレンヌ/1938年、フランス生まれ)
 シンプルなストライプの模様が、都市空間に明るく理知的な色彩の構図を描き出します。フランスを代表する国際的な作家ダニエル・ビュレンヌは1986年にパリのパレ・ロワイヤルの中庭で「二つの大地」を手がけて以来、世界各地ですぐれた環境芸術の数々を実現してきました。絵画の伝統を乗り越えることをめざした1960年代の斬新な美術運動を担ったBMPTというグループで活躍し、ビュレンヌは27歳のときから8.7cm幅の二色のストライプを生涯の制作手段(ツール)にしています。地下鉄の広告板、サンドイッチマンの看板、電車の扉、ヨット、美術館の監視のチョッキなど、ストライプはユーモラスに登場して、都市風景や自然に新たなヴィジョンを与えてきました。万代島のオフィスホテルタワー前広場にグリッド状に配置された赤と緑の角柱は、アクセスの方向によってまったく異なる表情をみせ、夜には照明が灯されて、瞑想へと誘う詩的な場へと変わります。

本作品の作家ダニエル・ビュレンヌ氏は2007年第19回高松宮殿下記念世界文化賞を受賞されました。

●オーシャンライト・ツリー2003
  (海光の木々2003)
  海辺から来た3つの石
 川に浮かぶ島に運ばれて
 ガラスの建物に置かれた。
 風に浮かぶ建物の中に。

  日ごとに海水が
 石の窪みに注ぎ込まれ
 海のエネルギーを石に宿らせる。
 3本の金の振り子が
  水面に優しく触れ
 エネルギーを天井へ引き上げ
 海光の渦を創り出す。

Rebecca Horn(レベッカ・ホーン/1944年、ドイツ生まれ)
 彫刻の材料で肺を冒されて療養生活を強いられたレベッカ・ホーンは、その体験から人間の身体と自然のエネルギーの交感をテーマにするようになりました。尖がった細長い角を頭部につけて女性が森のなかを歩く「一角獣」のパフォーマンスの映像で、1972年に現代美術の国際展カッセルのドクメンタでデヴューし、不思議な動きをする斬新な機械や刺激的な映像制作を多数手がけています。ドイツを代表する国際的な作家であるとともに、世界各国が注目する女性作家の一人です。ある場所がもつ歴史性や環境への深い思考から生み出される作品には、現在を超える宇宙的な力も託されています。アトリウムの床に置かれた3つの石には海辺の都市を象徴する塩水が満たされ、光の矢のような金の振り子、その突端部の三角錐からは青い水の波紋が天井に投影されています。繊細でかつ強靱なレベッカ・ホーンの錬金術が、驚異と神秘の時空間を現出しています。
●世界を反転させる 2003
Anish Kapoor(アニシュ・カプーア/1954年、インド生まれ)
 カプーアは1973年にイギリスに渡り、大学で彫刻を学んだ後、ロンドンに定住して制作しています。濃紺などモノクロームの顔料で石塊の窪みや大地の穴などを覆って、非在とも実在ともつかない神秘的な空間を出現させた作品で注目を浴びるようになり、1990年にはベネチア・ビエンナーレで2000年賞、91年にはターナー賞を受賞しました。朱鷺メッセのメインホールのロビー壁面に設置された「世界を反転させる」はステンレススチールの巨大な凹面鏡ともいうべき作品で、表面は鏡状に磨かれています。少し離れたところから見ると、凹面に映る像は逆転しているが、近づいて行くに従って像はもう一度反転するという仕掛けです。見る者との関係性の中で、視覚的な虚実の問題をスリリングに問い掛けてくる作品といってもよいでしょう。そのイメージの謎は、ロビーを通り過ぎようとする人の足を思わず止めさずにはおかないはずです。
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